夜の秒針の音

アナログ時計の秒針の音。

一定の速度で静かに時の経過を刻む、意思なき機械音。

 

ゆったりとした昼間に、目を閉じていて、もしくは本を読んでいて、微かに聞こえる秒針の音はどことなく心穏やかになる気がします。

 

 

そんな秒針の音、夜中に聞くとものすごく怖いんです。

 

家の中も外も静まりかえり、ひたすらに暗い、もしくはほの暗い部屋のなか。

いつもは聞こえないような音も、やけに響いて聞こえるような、うるさいくらいの静寂。

 

(うるさいくらいの静寂~的な表現はどこかで読んで気に入った表現です。使わせていただきました)

 

静かな部屋に規則的に響く秒針の音。

耳を通り抜けて脳に直接時を刻み付けるような、残酷なまでの時間の経過の報せ。

 

今自分がなにもしないでいるうちに、刻一刻と時間は過ぎて、世界は変わって、人生の時間を消費し続けている。

 

それを息が詰まるほど規則的に報せてくる。

 

 

そんな気がして。

小さい頃から夜の秒針の音は怖かったのです。

 

今でも怖いのは変わりませんが、この自分の感性を、時が過ぎるのを、人生が過ぎていくことを、愛しく思える日も来るのかな、と思うことにします。